ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

石井伸一郎先生宅オフ(2)

glider
 さて、今回は石井先生のソフトをもとに主に縦置きと横置きの比較を中心とした印象を書いてみます。横置きセッティングは故瀬川冬樹先生がお好きでステレオサウンド試聴室でも一人だけそうしておられたそうです。石井先生はその頃は変わったことをするなあと思う程度であまり関心も無かったそうです。

 実は先生が初めて横置きが良いと思われたのは、菅野沖彦先生のお部屋なのだそうです。菅野先生のお部屋はよくステサンに載りますのでご存知の方が多いと思いますが、確かにに横置きです。ところが石井先生によると菅野先生は

「そう使うしかなかったからそういう配置にしただけだ」

とおっしゃるそうで、横置きにそれほど関心が無いそうです。これも面白いですね。

selectorbox さてインプレの前に一言だけ。前回縦置きは片チャンネル4台を駆動と書きましたが、インピーダンスは大丈夫なのかとご心配の向きもあると思います。実際Monitor 1は公称6オームですので4台パラだと1.5オームくらいになるそうです。しかし実際使ってみると、Technics SE-A2000は落ちもせず涼しげにSPをドライブします。それも左右両チャンネル一台で(^_^;)。できれば左右別で使いたいのだが一台故障してて仕えないので一台で使っておられるとのことでした。今回も結構大音量でしたがびくともしませんでした。写真は石井先生自作のSPセレクタボックスです。

1:The King's Singers: Penny Lane

The Beatles Connection
The Beatles Connection

 まずは男性コーラスで縱と横の比較をしていただきました。この時は縦置きも一ペアずつの駆動です。やはり縦置きだと、コーラスがうまくほぐれずひと塊になっている感があります。音も少しきつく前にせり出してくるように感じられます。
 横置きですと左右5M近くありますからうまくばらけ、SPを超える広がりで見事に一つ一つの声の音像が定位します。音自体もほぐれて柔らかく耳あたりが良く聞こえます。
 これだけ大きいSPだから中抜けしないのでは、と質問してみましたが、小さいSPでも全くそのようなことは無いそうです。ただ、このソフトだけはこのSPでも中抜けするとかけてくださったのがーー

2:Sony Rollins: I'm an Old Cowhand(STEREO)

Way Out West
Way Out West

 ソニー・ロリンズ初期の傑作です。このソフトはステレオ録音最初期のもので、左にサックス、右にリズム・セクションが極端にオン・マイクで録られているため、ステレオというより2チャンネル・モノラルといった方が良い録音になっています。ビル・エヴァンスにも同じような録音があるなあと思い出しましたが、あれはまだ真ん中の音場があるとの事でした。
 実際横置きで聴いてみると見事に中抜けしていましたが、これを縦置き4ペア駆動で聴くと見事に一体感が出ます。モノラルに近い感覚で音が前に飛んできます。片側4台使うことにより巨大なバッフル面が殆ど左右一体となって壁のようになり、部屋があたかも一つの筒状態となり音が前に押し寄せるのでしょうとの事でした。昔のジャズ喫茶の熱い感じのジャズがお好きな方はこの聴きかたの方がクル、と思います。実際石井先生も一関ベイシーの音に刺激を受けて4台増やして駆動しようと思われたそうです。

3:Sony Rollins: St.Thomas(MONO)

Saxophone Colossus
Saxophone Colossus

 モノラル録音でも聴かせて頂きました。狭いライブハウスのかぶりつきで少し段上のステージを見上げている感じ。ドラムなど本当にリアルで、張り詰めた皮にバチが当たる様が見えるような感覚に襲われます。巨大な平面ウーファーが計8枚動いてハイスピードで位相の揃った音の波が押し寄せているわけですから、その威力たるや大変なものでした。みんな有無を言わせずハイにさせられてしまい、思わず笑ってしまうしかありませんでした(^_^;)。

4:Chie Ayado: Ooh, Child!

Shine
Shine

 その他は殆ど横置きで聴かせて頂きました。いい加減聴き飽きた感のあるアヤド節ですが、これだけのシステムで聴くとあらためてうまいなあ、と感嘆します。バックの演奏も立っています。

5:Dee De Bridgewater: La Mer
Jai Deux Amours
 やはりジャズボーカルからDDをチョイス。おしゃれで実にうまいですね。弾む感覚がよく表現されていました。

6:Munch&BSO: Saint-Saens: Symphony No.3 In C Minor

Saint-Saëns: Symphony No.3
Saint-Saëns: Symphony No.3/Debussy: La Mer/Ibert: Escales

 最近SACDハイブリッド盤で再発が続いているLiving Audioから。名演中の名演を完璧に録音したといわれていますし、聴いてみますと申し分の無い再現をしていると思われます。しかし石井先生はオーケストラというのは4ウェイ2チャンネルではとても再現しきれないものだとおっしゃっておられました。

「楽器数で言うと片手までですよ、綺麗に再現できるのは」

だそうです。オーケストラとなるとマルチチャンネルにするのはもとより、楽器ごとに細かく帯域分割してアクティブに駆動してやる必要があると力説されました。なんでも昔10ウェイに分割してデモして回った事があるそうです。オーケストラのホールで鳴らしたらなかなか良かった、と笑っておられました。

7:Ariel Ramirez:?
 よく聴かせて頂くボーカルソフトなのですが、曲名を失念してしまいました。

projectorDVD:

 みんなのソフトを一通り聴き終わったあとはDVDを拝見させていただきました。写真はPanasonicの巨大な3管プロジェクターです。DVD PlayerはTechnics A-10でこれだけは拙宅と一緒でした(^o^)。SPは縦置きの4ペア駆動の方で、その前にスクリーンが下りてきます。スクリーンは音を通す素材で松下とどこかが共同して試作してKIKUCHIが売り出す一歩手前までいったそうですが、ボツったものだそうです。
 映像を見ているとくつろいでしまい、分析的に聴くという気が無くなってしまいますね。勿論ソフトは選りすぐりのもの。下記3ソフトとも申し分の無い演奏で楽しませていただきました。その中でも林英哲さんの和太鼓は凄かったです。部屋が震えていました。

1:小澤征爾&Marcus Roberts Trio&BPO: I Got Rhythmーベルリンの風

ヴァルトビューネ2003 ガーシュイン・ナイト
ヴァルトビューネ2003 ガーシュイン・ナイト

2:Diana Krall: All Or Nothing - Let's Fall In Love

Live In Paris
ライヴ・イン・パリ

3:林英哲 with Kent Nagano & BPO: Utage

ヴァルトビューネ2000
ヴァルトビューネ2000

ゲスト3人のソフトは次回に。全員が息を呑んで聴き入ったとんでもない掘り出し物のKiller Discがありましたのでお楽しみに。