ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

アムステルダム国立美術館展

museum051029

 昨日兵庫県立美術館アムステルダム国立美術館展を観てきました。去年から散々ぼろくそに言ってきた安藤忠雄氏設計の迷路のような建物にも慣れてきました。写真は中央ホールでここでよくクラシックコンサートなども催されます。

オランダ最大の美術館であるアムステルダム国立美術館は、黄金時代と呼ばれるオランダ17世紀の優れたコレクションによって世界的に知られ、この時期を代表する画家レンブラントフェルメールらの作品は、後の美術史に大きな影響をおよぼし、また世界中の人々に親しまれています。

展覧会では、アムステルダム国立美術館のコレクションのなかから、世界に30数点しかないと言われるフェルメール作品の1点《恋文》、レンブラントの初期 の自画像の代表作《青年期の自画像》をはじめとするオランダ17世紀絵画の名品の数々に工芸作品も加えた93点を8つのセクションに分けて構成し、様々な 側面からこの黄金時代を紹介します。(兵庫県立美術館HPより)

 17世紀オランダの絵画に共通するのは細部に至るまでの精密な写実技法と(北国ならではなのでしょうか)光に対する繊細な感覚です。それが結実したのがフェルメールの一連の絵画だと思われますが、今回は「恋文」一点が最後の部屋に陳列されていました。それまでにずうっと他の17世紀オランダのさまざまな画家の作品を見てからの見学になりますので、その精密な写実と光と影の応用という点においては特に違和感が無いというか、正直なところそれほど目立つ作品でない、と感じてしまいました。
 では何故、この時期のオランダの巨匠としてレンブラントフェルメールくらいしか一般には知られていないのか?その差はどこにあるのか?見終わってそんな疑問さえ持ってしまいました。
 素人の私にはうまく説明できませんが、以前エミール・ガレ展で感じたような芸術作品と工芸品の差のようなものがそこにはあるのかもしれません。

 目を引いた作品としてはやはりレンブラントの自画像(冒頭リンク内にあり)、修道僧の衣服を着た息子像等のレンブラントの作品がただの写実から一歩前へ踏み出した強い印象を与えてくれました。
 写実と言う点では、職業柄スホールという人のヴァニタス(テーブルの上の頭蓋骨)(冒頭リンク内にあり)という作品が印象に残りました。テーブルの上にシャレコウベが5つ何れも異なる角度から描かれており、本当に精密です。ただ単に写すだけではこれだけの絵は描けないでしょう、解剖学をかなり勉強していたと思われます。日本で解体新書が著されたのが1774年、この作品が1660年頃といいますから当時のオランダと鎖国日本の差を思い知らされます。

 その他にも風景画、肖像画、風俗画、更には美しい工芸品等もありますので神戸近辺のかたは是非どうぞ。近畿以外の方には残念ですが、今回は神戸のみの公開だそうです。