ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

Perfect Soporific

 皆さんも神経が昂ぶって寝つけない時に穏やかな音楽をかけて眠りにつくことがおありでしょう。私にも過去いくつかそのような睡眠薬(soporific)代わりの愛聴盤がありました。その中でも群を抜いて完璧なスリーパーがあります。最近悲慘な事故やら仕事のストレスやらで、それを聴く機会が増えてきたものでご紹介しようかと思います。現代音楽、ミニマルミュージックの範疇に入ると思いますが、ALINAというアルバムです。

Alina - Arvo Part
Dietmar Schwalke

 アルヴォ・ペルトといえば以前タブラ・ラサをご紹介した事がありましたが、あちらは穏やかな部分と神経を逆撫でするような激しい部分が入り混じっており、作品としての完成度は高くても睡眠薬代わりとしてはやや不向きな面もありました。これは違います。ほぼ完璧にその資質(^_^;)を備えております。例えば一曲目を例に取ると、

1:単純な和音の繰り返し:ピアノはひたすら1,3,5度(おそらく)の和音を分散して繰り返し、ヴァイオリンが一小節かけてルート音を単調に弾く。その繰り返しが延々と続きます。

2:刺激的な音が無い:ピアノもヴァイオリンも刺激的な音は一切出さないし、不協和音、テンションノートは出てきません。

3:抑揚が無い:これは結構スリーパーとしての資質として重要だと思うのですが、寝かけていて突然音が大きくなるとはっと目覚めてしまいますよね。そのようなことが全くないというアルバムというのは実は非常に珍しいと思うのです。ところが、このアルバム全体を通してそうなのですが、音量が全くといっていいほど変わりません。楽譜にはピアノもフォルテもついてないんでは?

というわけで、もう数十回かけていると思うのですが、このアルバムまだ最後まで聴いた事がありません。というか、

聴いているはずですが記憶にありません(核爆

Perfect Soporific!!-----ということは、裏返して言うと真剣に全曲を通してスピーカーに対峙して聴くというのは殆ど苦行。ペルトさんがおっしゃるには「この音楽はいわば白い光であって、それをプリズムにかけて音楽に潜む色を分析するという作業は聴く人に委ねられる」のだそう。申し訳ありません、そんな根性持ち合わせておりません_(._.)_

 ということで、不眠症に悩む方は是非お試しください。