ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

機関車先生

 機関車先生、前から見たかったのですが、この頃Boseなんちゃってサラウンドシステムの調子が悪くお預けになっていました。module交換でやっと音飛びが消失したのでようやく鑑賞することが出来ました。

機関車先生 スペシャル・エディション
機関車先生 スペシャル・エディション

瀬戸内海に浮かぶ小島、葉名島。そこで学ぶ全校生徒7人の水見色小学校の子供たちの前に、ある1人の青年が臨時教師としてやって来た。春風の到来と共に子供たちの前に現われた先生は、大きな体に優しい眼差しを浮かべているがなぜか一度も口をきかない。そんな先生の様子に期待と不安で胸を膨らませていた子供たちは、先生が黒板に書いた言葉に目を丸くする。“ぼくは話をすることができません。でもみなさんといっしょにしっかり勉強します”。 (公式HPより)

原作は直木賞作家・伊集院静の同名小説。自らが役柄・ストーリーに惚れ込み臨んだ坂口憲二・映画初主演作品。(AMAZON解説より)

 いやあ、説明を読むまでも無く泣くために見たようなもんです。「昭和30年代」と「瀬戸内海の小島」の二つのキーワードでもう私の涙腺は準備万端(^_^;)。おまけに「ありがとう、浜村淳です」の「土曜映画劇場」で浜村節を聴いてしまっており、既に一度予行演習済みなもので、泣き所も心得て見始めました。

 瀬戸内海の風景、美しい!

 そして坂口憲二、初主演とは思えないほどの堂々たる主役ぶり。前から私は演技力は脇役に求められるもので、主役は大画面で見劣りしないほどの存在感があればよいと思っています。坂口憲二には所謂トレンディ俳優なる肩書きがついており、TVでしか映えないようなみみっちい感じがなければいいがと心配しておりましたが全くの杞憂で、素晴らしい主役っぷりでした。彼の出演作を見たのはTV,映画を通して初めてでしたが、是非映画俳優として成長して欲しいです。

 その脇を固める演技派は堺正章伊武雅刀倍賞美津子、大塚寧々等。まあ妥当な配役といえましょう。子役もみんな輝いています。現代っ子のはずですが、30年代の雰囲気をうまく出しています。この辺は監督の廣木隆一の手腕でしょうか。

 昭和30年代の貧しく、またそれゆえの理不尽な出来事もあるけれど、明日への希望を子供たちが信じて生きられた時代。それが丁寧に描きこまれているので、最後の別れのシーンは分かっていてももう涙がぼろぼろ出て止まりません。

 超映画批評前田有一氏が言うように、

映画にひねりや個性を求める人には向かない作品

で、本当に単純なお涙頂戴モノではあるのですが、映像の美しさ、俳優陣の頑張り、構成の確かさにより見て損のない映画に仕上がっていると思います。久しぶりに思いっきり泣いて見たい方は是非どうぞ。