ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

下妻物語

下妻物語 スタンダード・エディション
中島哲也 深田恭子
東宝 2004-11-26


by G-Tools

 やっと下妻物語を見ました。AFのりゅういちさんやNuovo Cinema Paradisoさんもほめておられ、前田有一氏の超映画批評でも85点を叩きだした(りゅういちさんのblogより)と言う話題の作品だけに楽しみにしてましたが、まずまず楽しめる作品でした。

茨城県・下妻に住み、ぶりぶりのロリータ・ファッションに身を包んだ少女・桃子(深田恭子)がヤンキーのイチゴ(土屋アンナ)と出会い、数々の騒動に巻き込まれながらも強力な生き様を貫く、嶽本野ばら原作のハイパーパワフルな乙女たちの純情物語。(AMAZON解説より)

 関東のど田舎の物語というふれこみで、確かに自分の全く知らない関東の田舎の描き方は新鮮でした。JUSCOにしても、パチンコ屋にしても、ちょっとおされなキッチャ店(貴族の森と言うネーミングが凄いが実在だそう)にしても建物は日本全国画一化そのものの世界。そこを逆手に取って風景や田舎の駅の描写で楽しませるところなんか、さすがサッポロ黒ラベルのCMで名をあげた監督の作品だけのことはありますね。

 一方で冒頭で出てくる尼崎近辺の描き方は陳腐そのもの。東映映画やVシネマ等の関西の描き方をまんま踏襲していて、おまけにちゃっちくてステレオタイプヴェルサーチのばったもん「VERSACH」は、確かに笑わせてくれるけれど、洋画の「プリティ・ウーマン」で主人公に「ヴェルセイス」と言わせるような粋はなかったですね。また最後に深田恭子が一発決める関西弁のセリフも伏線と言って喜べるほどのものか?と思いました。いつまで経っても関西っていうのはこういう描かれ方をする運命にあるのでしょうか。

 まあ、昨日R-1の司会がイマイチだった、と書いたばかりの雨上がり決死隊宮迫博之がこういうところでのちんぴらの役柄だと生き生きしてました。そうそう、関西ではそれなりに有名な木村祐一もちょい役で出てましたね。

 そのほか、あらすじや内容については省略。女性二人の友情が芽生えていく様が素晴らしいとかあちこちに書かれていますが、自分はヤンキーが生理的に苦手なこともあり、他の皆さんがほめられるほどには感動しなかったです。まあ、それでも単純に笑って楽しめたのですからうまく作ってありますよね。 

 ただ、なんか漫画やCMを見てるような感覚で最後まで押し切られてしまい、個人的には小品のレベルかなと思います。確かに年に一本や二本はこういう映画が混じっていると映画界全体の活性化に寄与すると思いますが、みんながみんな雪崩式にこういうふうになっちゃうとダメじゃんーーー、たぶん。

 最後に土屋アンナって、ホントは凄い美人?なんでしょうね。

 そうそう、りゅういちさんも特筆されている、楽しい音楽の数々はアニソンやゲーム音楽等で有名な菅野よう子さん。トリビア的なネタを一つ書くと、ご主人は高名なチェリスト溝口肇さんです。

 エンディングの一曲目はなんと懐かしいサディスティックミカバンドの名作「タイムマシンにお願い」で、思わずニヤリ(演奏は違うバンドです)。