ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ビルブラの夏と冬

sig_of_bill Bill Bruford:言わずと知れた英国プログレ界を代表するドラマーです。KCDBさんによると本人はブルッフォードと発音してほしいとのたまっておられるそうですが、私もかれこれ20年以上「ビルブラ命」と唱えてきたもんで^^;、引き続きビルブラで行きます。ビルブラ様、いつぞやはサインをありがとっ!!(写真拡大クリックしてください。右のサインはスティーヴ・ハウ氏です)

 KCDBで知ったMusic for Piano and DrumsのReissue盤が先日着いたと言う記事を書きましたが、久しぶりに聴くと何とも懐かしくっていいですね。Morazの超絶技巧的ピアノもいいし、ビルブラの変拍子も普段は他の電気・電子楽器の洪水の中に埋もれてしまうようなところまで聴けて嬉しいです。Duo独特の間合い?のようなものも伝わってきますし、あんな地味なアルバムが当時結構評判になってわざわざ日本まで公演に来たのもうなづけます。その日本ライブが今回3曲もBonus Trackとして入っているのも嬉しい(ビルブラも結構商売上手ですね)ところです。

summerfold ところで、このアルバムにはおまけCDが入っています。1987年以降彼がジャズ・ドラマーの方向へ行ってしまってからの作品とインタビューが入っています。個人的にはインタビューでの彼の肉声は涙もの。それもかなり長い時間熱弁をふるっています。また、未聴だったBurford-Borstlapの「16 Kingdoms of the 5 Barbarians」を入れてくれたのも嬉しかった!この辺の事情についてはトラバさせて頂いたKCDB Blogに詳しいのですが、要するに

プログレ時代のビルブラしか知らない人にアースワークスを知ってもらおう
アースワークスしか知らない若者には昔のプログレ時代の活躍を知ってもらおう

ということで夏冬二つのレーベルを立ち上げ、それぞれにボーナストラックとして反対の季節のサンプラーを入れたということです。今回私が買ったプログレ時代のものはWinterfoldです。だからSummerfoldの方を買えばプログレ時代のサンプラーがついているので、それも聴いてみたいですね。それにしてもプログレ時代は彼にとって冬だったのでしょうか^^;

 さて、インタビューでは熱くジャズドラマーとしての決意を語り、

ピンク・フロイドの「狂気」の様に何か月もデジタル処理のためにスタジオにこもって傑作を作るというのも素晴らしいとは思うが、僕はそれよりもFootloose and Fancy Freeのようにジャズをオーディエンスの前で演奏して音楽を作っていくやり方でいきたいんだ

とあくまでもジャズのライブミュージシャンとしてこれからもやっていくと宣言しています。とはいえ、ライナーでは結構弱気なところも見せており、

Holdsworth,Stewart,Berlin,Morazという面々と演ってたころに僕の音楽を聴いていてくれた人たちを、僕はBates,Ballamy,Garland,Hamiltonといった無名のメンバーと演るようになって置き去りにしてしまった。ごく単純に言えば、我々はGood Listenersを失い、彼らは私たちを見失ってしまった、それも特別な理由も無しにね。

プログレ時代のファンに結構未練たっぷり。

ジャズと言う言葉を聴くとナーバスになるよね、僕もそれは分かってるよ

と媚びてみたりもしてますね^^;。僕は両方の彼を知っていますしジャズも大好きなのでそんなに平身低頭しなくてもいいのにと思ってしまいますが、イギリスでジャズで食っていくと言うのは想像以上に大変なんでしょう。インタビューでもイギリスで最も息の長いジャズグループになってきたとのたまっておられます。自由奔放に叩いている印象しかなかった彼も、もう重鎮と言われるような年になってきてるし、次世代の英国ジャズを育てるのに結構苦労してるんだなあ、と年月の流れを感じてしまいますね。

 それにしてもジャズドラマーとしての決意を固めた1987年以降ロックバンドでの唯一の長期レギュラーだった、キング・クリムゾンは彼にとって一体なんだったんでしょうね。エスのユニオンツアーは彼にとっては資金稼ぎだったのでしょうけど。冒頭のサインは実はその時もらったものです。実はその時どきどきしながら「僕はKCの熱狂的なファンであなたの再参加を願っているのだがその予定はありますか?」と聞いてみたのですがその時点では「全くない」という返事でした。。
 それなのに(ー_ー)!!、しばらくしてKC参加のニュース。やっぱミュージシャンと言うのは気まぐれなんだと思いましたね。でもその後約4年ひたすらメタル武装していくフリップに付き合ったというのは、もしアースワークスのための資金稼ぎだとしても立派と言えば立派。最後にフリップ卿の例のごとく皮肉たっぷりながら、彼なりの精一杯の賛辞を記してこの記事を終わりましょう。がんばれビルブラ!

第3期KCのドラマーだったのは、クラシック気質を持っていながらジャズドラマーになりたがっており、ロックバンドで働いているという輩だった。(中略)私はBruford/Wettonがいいリズムセクションだったかどうか確信は無い。しかし一緒に演奏していてamazing,busy,exicting,mobile,agile,intensive and terribleだった。