ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

麻薬うてば十三夜月遁走す

 variousmoonさんのblogつきのくさぐさへのトラックバックです。26日は十三夜月ですね。十五夜は台風だったので今度こそといきたいですね。
 十三夜月と聞いていつも思い出すのが石田波郷の代表句

麻薬うてば十三夜月遁走す

です。昭和25年出版の句集「惜命」に入っています。麻薬といってももちろん彼は中毒者ではありません。結核の手術の後鎮痛のためにうたれた麻薬のため意識が朦朧となり、気がついたときには十三夜月はもう沈んでしまったいた、という痛ましくも美しい印象の残る句です。

 この句を知ったのは高校生時代の現代国語の時間でした。自由な校風の私立高校でしたから授業も自由な雰囲気で、特に現国のY先生の授業は素晴らしいものでした。教科書に載っている現代俳句などつまらないといって、自分の選んだ現代俳句の秀作をプリントで配って下さいました。その中にこの句も入っていました。麻薬などという単語が入っているので教科書になど載せようも無い句ですが、月が遁走するという表現は素晴らしい、と若造だった私の心にも強く印象に残りました。「闘病俳句」と形容された彼の作品には他にもこんな傑作があります。

雪はしづかにゆたかにはやし屍室



石田波郷読本
『俳句』編集部

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