NACHIKOという1980年台初頭に彗星のように現れ、3枚のLPを残して消えていった幻のロックシンガーを、皆さんご存知でしょうか。私は今でもLPを引っ張り出してしょっちゅう聴いているくらい好きなのですが、このたびプログレファンが聴く女性ヴォーカル投票に投票してみるにあたってちょっとググってみたら、なんと!公式HPが!!
冒頭の写真は左から順番に、
1st「薬屋の娘」(1980、Epic Sony)
2nd「お花畑は水びたし」(1980)
3rd「髪舞」(1981)
どのLPにも針を落とすと、硬質で突き抜けるようなハイトーンボイスと高度なテクニックを持ったバック演奏(元四人囃子の森園勝敏さんが全面的にサポート)が空間を自由自在に飛び回ります。またその歌詞がシュールなもんでトリップ感覚が味わえます。その強い個性はちょっと比肩し得る人が思いつかないくらいですが、あえていえば鬼束ちひろとソーニャ・クリスティーナ(カーヴド・エア)を足して2で割った(?_?)、という感じです。
アンドロイド風のジャケットが印象的だった「薬屋の娘」(本当に薬屋の娘さんだったのですが)が最も有名ですが、白眉は2作目。「J-プログレの傑作」と呼んでもおかしくない高度な音楽性を持った作品です。歌詞にあわせてアレンジが一曲ごとに異なり、いわゆる捨て曲が一つもありません。敢えて言えば富士通テンのCMソングだった「ネイチャー・ボーイ」がその平凡なコマーシャル性のためにつまらなく感じるほどです。個人的には漂うようなイントロから「トミー、気づいてあんたの過ち、そして信じさせてお願い」とささやくようにヴォーカルが入ってくる表題作が最高です。何しろそのあと、お花畑が水浸しでデンデン虫が追われて逃げてしまうのですから、シュールですねえ。
ときどきヤフオクでも見かけますのでぜひgetして聴いてみてください!
今はなんと心理カウンセラーをしておられるとのこと。あの作詞能力をその方面に生かしておられるとは、また感慨深いものがあります。