ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

鬼束ちひろ@神戸国際会館

Onituka1211
 天才SSW鬼束ちひろの約10年ぶりのコンサートツアーが、神戸に来たので行ってきました。個人的には2003年に大阪のザ・シンフォニー・ホールで行われたアコースティック・ライブ以来となります。
 と書きますと、凄く期待していたように思われるかもしれませんが、彼女の最近のトラブルや奇矯なファッション・行動、更には前回ツアー自体をドタキャンされた苦い思い出等々、不安だらけ、というのが正直なところでした。で、どうだった、と訊かれると。。。
 まあこれだけ観客に、否、歌というものに対して「不誠実」なコンサートを聴いた事がありません。天才のムラッ気と許せない人はファンではないと言われればそれまでですが。

鬼束ちひろ Concert Tour 2011
HOTEL MURDERESS OF ARIZONA ACOUSTIC SHOW」

Date: Dec.11th, 2011 18:00-
Place: 神戸国際会館 こくさいホール

鬼束ちひろ: vo, g on EC-2
坂本昌之: p

Setlist: 

1:  Sweet Rosemary
2: 青い鳥
3: everyhome
4: 琥珀の雪
5: Time After Time
6: The Rose
7: 月光
8: 蛍
9: 嵐が丘
10: EVER AFTER
11: 私とワルツを
12: ストーリーテラー
EC:
1: NEW AGE STRANGER
2: Beatiful Fighter

 一曲目で早速歌詞を間違える、全ての歌で過多に原曲を崩す、ミストーンを繰り返す、中には出だしのキーが違うんじゃないか、という曲もありました。完全な練習不足、或いはもう歌唱力がついていかないのか?問題はそれを本人が全然気にしてない様子がありありと見て取れた事。勘繰れば「アコースティック・ショウ」と銘打ちながら実情は伴奏がピアノ一台だけというのは、バンドできっちりとした編曲で歌うだけの歌唱力がなくなった、或いは努力を忌避した、と思えなくもありません。
 特に、10年に一度出るか出ないかの名曲「月光」では、前半はさすが、と唸らせてくれたのに、後半で見事なミストーンをやらかしてくれた時には、吉本新喜劇並みにずっこけそうになりました。で挙句の果ては最後の盛大な息切れ。これは

「何分若い時の曲なもんで、体力が。。。」

との終わった後のMCから推察するに、演出半分なんでしょうが、正直見苦しい。

 MCや観客の声援への返事も言葉遣いがぞんざいで聞き苦しい。

「可愛い!」→「そんなに可愛くねえよ」

は、まあその通りかも。思えば8年前は可愛かったですねえ。

 それでも天才は天才、パートパートではゾクッとさせるくらい良い歌唱がありましたし、「」「私とワルツを」なんかは全体を通して惹きこまれました。カバー曲は洋楽が二曲、そのうち幾多のカバーを生んだシンディ・ローパーの名曲は御世辞にも褒められたものではなかったですが、ベット・ミドラーの名曲で最近では手嶌葵のカバーで有名になった曲はまあまあ、でした。いずれにしても「守ってあげたい」のようなはっとするほど見事なカバーとは言い難かったです。

 アンコールは二曲とも本来ロック・バンドを組んでやるべき歌。「にっくきEMI」「忌々しいEMI」のMCには笑いましたが、歌とピアノとつたない本人のギターだけでは物足りなかったです。

 ということで、周囲の盛大な拍手や声援に納得できないままに、脳内疑問符をひきずったままコンサートは終了してしまいました。最終の(といってもたった三箇所の全国ツアーですが)東京公演はDVD化が決まっていて、会場では早くも予約を取っていました。会場特典付きだそうですが今日のパフォーマンスでは正直買う気にはなりませんでしたので、スルーして帰りました。