ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

一青窈@神戸国際会館

you060303

 オノマトペを駆使し独自の詩世界を構築しているトライリンガルの才女、一青窈さんのコンサートが雛祭りの日に神戸でありました。彼女のように言葉の引き出しが多く、言葉を粗雑に扱わず、そして作詩に独特のセンスを持っている歌手に私は目が無いので、この日を楽しみに待っていました。

YO & U Tour 2006

you0603032Date: March 3rd, 2006, 18:30-
Place: 神戸国際会館

一青窈(vo)
BAND
山内薫(b)
河村カースケ智康(ds)
長井ちえ(g)
栗尾直樹(kbs)
片山敦夫(p)
朝倉真司perc,g)

Setlist:
1: Oh la la
2: Banana millefeuille
3: ピンクフラミンゴ
4: 影踏み
MC-1~プレゼントコーナー~
5: うれしいこと。
6: sunny side up
7: 翡翠
MC-2~お手紙のコーナー:山玉修一さん(sound design担当)より
8: ぱぱへ
9: いないばぁ
10: かざぐるま 
MC-3
11: ハナミズキ
12: 一思案(ひとしあん)
13: アンモナイト
14: ホチKiss
15: 指切り
16: もらい泣き
17: さよならありがと
Encore
1: 大家(ダージャー)
2: アリガ十々
3: &

 定刻を少し過ぎてコンサートが始まりました。大きな家(大家?)を模したセットの、御簾のような薄いカーテンのむこうで一曲目を歌う彼女のシルエットが浮かび上がります。カーテンが上がると、白いミニのドレスにハイヒール、豊かな黒髪を後ろで束ねた窈さんにスポットライトが当たり、ギターのちえさんと一緒にステージ前方へ。
 そして挨拶もそこそこに「皆さん立ってください」とのリクエスト。いきなり大音量でヘビーなナンバーのが始まります。まだ盛り上がってもいないのにいきなりかよ、とちょっとおじさんには辛い命令(~_~;)。音も飽和気味だし、これが延々続いたらどうしようと思ってしまいましたが、「ひととよう」の歌詞の使い方や韻の踏み方は面白かった。も同様にスタンディングが続きます。しっとりとしたでやっとみんな座って聞き入ることができました。

 最初のMCではコンサートに行った土地では必ず街を散策すること、そして昨日神戸のあちこちを見て回ったことを紹介。そして、父母と離れて日本の叔母に育ててもらっていた頃良く絵本を読んで聞かせてもらった話から、昨日絵本屋さんで買ってきた長新太の「ころころにゃーん」を披露して会場の人にプレゼント。もうすぐ奥さんが出産すると言う男の人が貰われました。音喩を効果的に使う彼女の作詞の秘密を垣間見たような気がしました。
 次のプレゼントは雛あられ。これは二階のボックス席にいたカップルがゲット。この嬉し楽しいプレゼントコーナーからに自然につながります。

 は後ノリのベースがちょっとレゲエに近い雰囲気をかもすアレンジに変えてありました。続くは海底を思わせるライティングが私好み。多分フレットレスだと思われる柔らかい音色の6弦ベースも良い雰囲気。

 続くMCではラウンド1という三宮駅前にあるボーリング場に行く途中、ストリートミュージシャンの演奏を聞いてたらY-U-Zと身体を動かすよう言われてゆずをやってるんだとわかったという話、それで疲れてボーリングはイマイチだった話などで会場を笑わせます。
 続いて兵庫県立美術館にも出かけた話。あの安藤忠雄設計ということはこのブログをお読みの皆さんにはミミタコかもしれませんが、彼女は結構その辺に興味があるようです。安藤忠雄から巨匠ル・コルビュジェにまで話は及び、海の見える場所の景色の切り取り方がいい、と言うような話に発展したので、へ~っと感心したり。
 展示に関しては、山田脩二目当てで行ったが動物ひょうきん属なる変な展覧会をやってた、という話が面白かったです。また、菅井汲(すがいくみ)の絵を見つけて嬉しかったという話もされてました。彼のファンなんだ!たしかあの美術館には「ハイウェイの朝」があったんじゃないかな?(これらはMC-2,3にまたがってます)

 彼女はずっとパパと文通してたそうで、今回のコンサートではスタッフから貰った手紙を紹介しています。今回はPAの山玉さんからでした。ということで次の曲は「ぱぱへ」、その次のは語感の面白さを楽しむ曲かな。そして映画の主題歌となってTVでよく流れていた10でもりあがります。

 続くMCは先程の県立美術館の話から、コンサートのハイライトである11の「ハナミズキ」の紹介に移っていきます。この曲は良く聴くと結構シュールな歌詞なんですが、あの9.11の日に書いた、と言うエピソードにああ、なるほどと腑に落ちるところがありました。

僕の我慢がやがて実を結び
果てない波がちゃんと止まりますよに
君と君の好きな人が100年続きますように

と言う歌詞に、新しく納得のできる意味を見出した気がしました。

 12では神戸の街や県立美術館を散策する彼女の姿がバックに映ります。歌詞もコンサート用にアレンジされていました。13はライティングがそれっぽい。14は彼女の可愛い面を見せてくれる弾むような曲で、

ほちKISS,KISS,KISS

というリフレインがとても楽しいです。このあたりからまた徐々にスタンディングの人が多くなりました。ちょっとハードな15はライティングが眩しくってちょっと辟易。そして彼女の最初のヒット曲16は結構アップテンポのアレンジで、歌詞を聴くまで分かりませんでした。でもやっぱりあのサビは印象的でいいですね。美しいバラードの17で一旦終了。

 アンコールは上はそのままに下がジーパンで再登場。バンドのメンバーはツアーグッズのTシャツ。3曲しっかりと聞かせてくれました。大家は(ダージャー)となっていますが彼女はダーチャーと発音していたような。最後にもう一度最初のセットが降りてきてカーテンのむこうに彼女が消えていって余韻を残して終了。

 ライティングやステージの演出は良かったですが、全般に音は飽和気味で、ロック系は特に音圧がきつく彼女の歌詞を聞き取れないこともしばしばでした。いい席が当たったのにちょっと残念でした。
 でもまあ、今年最初のライブとしては満足のいくもので帰路に着きました。会場を出ると、旅行に行ってる娘から「ミュージックステーション」録っといて、とのメールが。手遅れじゃ(^_^;)。Coccoが復活したらしいね。