ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

マーカス・ミラー@OBN

Stage-1

 11日の金曜日、マーカス・ミラーが新譜の「Silver Rain」発売にあわせて大阪ブルーノートへやってきました。マイルス・デイヴィスに「蚊トンボ」みたいなやつと揶揄されたやせぎすの青年もすっかり大物の風格をたたえ、大変熱いステージを展開しました。

Silver Rain
Silver Rain

Mar. 11th, 2005 @ Osaka Blue Note(1st set)

Marcus Miller Band

Front Line(L to R)

Marcus Miller (el.b, bass clarient, ss)

Dean Brown (el.g)

Michael'Patches'Stewart (el.wi., fl. horn, tp)

Kirk Whalum (saxes)

Back Line(L to R)

Mocean Worker (DJ, el.b.)

Poogie Bell (ds)

Bobby Sparkes (kbs)

Setlist

1:Bruce Lee

2:Boogie on Raggae Woman

3:Moonlight Sonata

4:Power Soul

5:Lonnie's Lament(?)

6:Frankenstein

encore

7:Silver Rain

MemberSignaturePoster

 開場2時間前に着いたのにもう整理券は48番でした。開場10分前くらいに列に並んでいると、なんとマーカスモーシャンが買い物から帰ってきて我々の前を手を振りながら通り過ぎたではありませんか。ああ、またとないシャッターチャンスだったのに(涙。

 フロアは超満員で熱気むんむん。やはりもうテーブル席はありませんでしたが幸いステージ真正面のカウンター席が空いており、家内と二人で食事開始。私は例によってちょこまかとカメラ小僧してました。冒頭の写真はその時のもの。

 開演20分位前みんなまだ食事でわいわいしている時に、毛糸の帽子をかぶってニコニコとした白人青年がステージに上がって、いきなり演奏を始めました。そう、DJのモーシャンです。3曲くらいやったあと、メンバーを一人一人紹介してステージに。そうして最後は当然、マーカス!白の上下のスーツにすっかりトレードマークとなった黒のポークパイハットでバッチリ決めてます。

 おもむろにあのフェンダーベースのストラップをかけたかと思うと、いきなりファンキーなチューンが始まりました。新譜からの「Bruce Lee」です。

 一音一音が独特の音色を持って響くマーカス流スラップベースはいきなり全開です。やっぱり右手の親指が長くて大きい。あれで強靭な音が弾き出されるんだなあ、と最初からもう目がベースに釘付けになってしまいました。また、リズム感覚がきわめて正確なので聴いていて非常に気持ちがよいですし、メロディラインを流麗にこなすところなんかは彼が多大な影響を受けたと語っているジャコ・パストリウスを彷彿とさせます。(音色の特徴は違いますが)

 カークのサックスソロも素晴らしかったですね。マイルスチルドレンの一人、パッチェスはtpではなくe.windで曲名から連想されるようなオリエンタルなフレーズをところどころで決めていました。

 終わってマーカスのMCが簡単に入ります。「ゲンキデスカ」でもう会場大盛り上がり。

 2曲目はスティービー・ワンダーの曲だけあって、ファンキーな中にも親しみやすいメロディがあるいいナンバーでした。DJモーシャンのサンプリングなどのソロから各人のソロが一巡し最後は巨漢プージーの豪快なドラムスソロでシメ。そういえばプージーTシャツってのを売ってました(^_^;)。

 3曲目はマーカスのMC

"Song by Beethoven,called Moonlight Sonata"

で始まりました。ベートーベンの月光ソナタです。あの有名な主旋律をボビーのkbとマーカスのベースが奏でていきます。カークのサックスソロに移り、またベースソロにかえり、かけあいになっていくところなんかはスリリングでした。また、パッチェスは今度はフリューゲルホーンを吹いていました。

 「スティービー、ベートーベンとやったら、次はジミ・ヘンドリックスだ」で4曲目開始。もうしょっぱなからパワー全開のアップテンポな演奏を展開。マーカスの高速スラップに負けじと今まで比較的大人しかったディーンのギターが炸裂。ちょっとゾンビみたいな顔のひとですが(失礼)、痙攣してるんじゃないかというくらい白眼をむいてピョンピョン跳ね回ります。パッチェスもいよいよ本職のトランペットソロを豪快に決めます。

 次は一転してバラード曲。マーカスはベースをおいてバスクラを持ちます。甘く物悲しい旋律はおそらく前作"M Squared"のLonnie's Lamentだったと思います。引き続きカーク(as)、マーカス(ss)、パッチェス(tp)、そしてボビーフェンダーでのソロと続いていきました。ボビーも巨漢でアフロヘアー。下唇が太くて、ガラモンを思い出してしまいました(^_^;)。ちなみにベースはなんとDJのモーシャンが弾いていました。

 最後はロック・ギタリスト、エドガー・ウィンターのハードなナンバーで「Frankenstein」。猛烈にファンキーでグルーブしまくりの演奏に会場の興奮もピークに。マーカスのベースからはマシンガンのように音が飛び出します。親指での高速スラップやらチョーキングやらものすごい疾走感です。他のフロントライン3人も煽られてもうバトル状態となっていきクライマックスを迎えました。

 アンコールに応えて、メンバーが再登場。プージーがもう一曲聴きたいかい?と会場をアジりまくり、マーカスを呼びます。マーカスは上着のジャケットを脱いで黒シャツ姿に。細身の体に似合わず、家内が凄い筋肉やねえと感心するほど腕っ節は太くマッチョでした。

 アンコール曲は新譜のタイトルナンバー「Silver Rain」。CDではエリック・クラプトンが歌っていますが、ここではマーカスが歌います。家内が「顔に似合わずおかしかった」というくらい意外に甘い咽喉を聴かせてくれました。でも、他のメンバーには失礼ですが、今回の黒人メンバーの中では一番ハンサムですよ、マーカス(^^)v

 というわけでFunky&Groovyなライブでした。あえて残念だった点を挙げると、5弦のフレットレスベースの柔らかい音色が聞けなかったこと、前作のM squaredのPowerをやってほしかったことくらいでしょうか。当然普段より高めの料金設定でしたが、十分満足できました。

 オーディオ的にも、マーカスのベースはカウンターテーブルが常時振動しているくらいでないといけない、ということが分かりました(爆。

 

 サイン色紙(上の写真中央)欲しさに、未購入だったThe Ozell Tapesを購入し帰路につきました。

(オフィシャル・ブートレッグ) ライヴ ~ジ・オーゼル・テープス
(オフィシャル・ブートレッグ) ライヴ ~ジ・オーゼル・テープス