ゆうけいの月夜のラプソディ

ゆうけいの月夜のラプソディ移植版

ULTIMATE CRASH

 ULTIMATE CRASHと言っても鬼ちゃんのコンサート・タイトルではありません。清宮監督の掲げる早稲田ラグビーのスローガンです。イラクで銃撃され亡くなられた故奥大使が最初に提唱されたものと聞いております。
徹底的な破壊」---故人の奥氏には悪いけどあまり上品なスローガンとは思えないのですが、今年の早稲田の強さにはぴったりの表現ではありました。

早稲田 31ー19 関東学院(前半12-7)
                     
 9日の大学ラグビー選手権決勝の結果です。スポーツクラブで筋トレや自転車漕ぎの合間にちらちら見ていたのですが、前半終了時には、これは後半は早稲田のワンサイドゲームになるだろうと感じました。思ったほどの差は開きませんでしたが、自分の目にはやはりワンサイドに映りました。
 しかし関東学院の健闘を讃える声が結構多いようなのであれ?と思ってしまいました。関東学院のいいところを見逃していたのかも、とちょっと不安になったので2,3日ブログ巡りをしておりましたが、いろいろな視点から試合を観察されていて勉強になりました。そしていろんな方の意見を総合すると、やはり今年の早稲田に負ける要素は無かったと感じました。
【大学選手権】決勝・早稲田×関東学院
響く「荒ぶる」、ワセダ王座奪還
大学ラグビー早稲田優勝、関東学院健闘
攻め切って勝った! 早稲田ラグビー優勝 ~1月9日
大学ラグビーの閉じられた世界
荒ぶる!

 私がワンサイドゲームと感じたのは関東学院に攻め手がまったくと言っていいほど無かったからです。。3本のトライがありましたが内容は

1本目:チャージ    
2本目:インターセプト
3本目:完全に試合が決まったロスタイムでのトライ

と、ラッキーパンチ2発と、失礼ながら3本目は主審の温情的試合続行によるもの。
 というわけで90分間の中では相手防御を崩してのトライは全くありませんでした。早稲田の球際のうまさが際立っていて、集散が速いために必ず早稲田の防御が余っていて関東学院はバックス展開でのゲインライン突破が全くといっていいほど出来ませんでした。勢い縱突進かサインプレーに頼らざるを得ないわけですが、それも完全に読まれている印象を受けました。そういう意味では同じく完敗はしましたが、準決勝の同志社の方がまだしも攻めていたと思います。
 ラインアウトも全くと言っていいほど早稲田にかもられてましたね。特に早稲田のLOの選手がラインアウトのボールをインターセプトして独走したのを捕まえられなかったのは、ちょっと前年度覇者としては恥ずかしかったですね。

 大学は当然選手の入れ替わりがあるわけで来年は違ってくるのかもしれませんが、とにかく今年は早稲田の人材が際立って優れていました。特にハーフ団とFBが秀逸でした。おそらくこれからの日本を背負っていく人材なのでしょうね。また清宮監督は選手時代凄く人気のあった花形プレーヤーでしたが、監督としても優秀な方のようです。
 ただ、多くの方が指摘されておられるように、プロ野球の巨人のような早稲田ブランドの人気に頼りきっている偏った今の大学ラグビー界はよくないと思います。大学選手権でも一回戦レベルだと、ダブルートリプルスコアが当たり前、悪くすれば3桁の得点もあるような戦力格差が存在していると、戦う前から準決勝や決勝の組み合わせが判ってしまいます。これじゃあサッカー人気に引き離されるばかりですよね。
 それでは日本ラグビー界の底上げも出来ず、世界にいつまでたっても追いつけないわけで、この前のような恥ずかしい遠征結果を繰り返すばかりになってしまいます。ULTIMATE CRASHすべきは、今の大学ラグビーの構造そのものなのでは?